徳島県教組による民事訴訟

2010年4月14日に、在特会・チーム関西によって引き起こされた所謂「徳島県教組襲撃事件」に対し、去る8月6日、徳島県教組が記者会見により民事訴訟を起こした事を公表した。
これは、先の徳島県教組襲撃事件刑事裁判で漏れた被告2名を検察審査会にから起訴に持ち込んだ流れの一環であり、未だに継続されるヘイトクライムを許さない徳島県教組の態度を明らかにしたものである。
なお、この民事裁判の原告は、徳島県教組と事件時書記長であった個人の1団体1個人となっている。


以下は徳島県教組決議と、元書記長による記者会見メッセージ。



排外主義を許さず,共生社会をめざす特別決議
〜 徳島県教組書記局襲撃事件は終わっていない。 新たな闘いを始める! 〜

 2010年4月14日,在特会らによる県教組書記局襲撃事件から,丸3年。私たちは,民事訴訟にも踏み切る決断をした。また新たな闘いが,いまここから始まる。
 これまで私たちは刑事訴訟を通じて,彼ら在特会らのメンバーの言動がいかに凶悪な犯罪性を有するものであるかを訴え続けてきた。主犯格3人は京都朝鮮学校事件と合同裁判となり「有罪判決」がくだされた。いったんは不起訴となった者たちに対しても,徳島検察審査会への審査申し立てを通じ,「不起訴不当」議決がなされた。
 この間,私たちの訴えと強力に連帯すべく,「民主主義に対する暴力を許さない徳島実行委員会」が結成された。「起訴を求める団体署名」では,県内外をあわせ1500筆を超える署名が集まった。これらの動きは,本事件がまぎれもなく「許されざる犯罪」であることを証明するものであり,民主主義を脅かすような暴力行為に対する市民の怒りの大きさを物語るものである。
 しかし,その後も在特会らのメンバーは,自身の過ちを認めるどころか,反省のかけらも見られず,その醜悪なる行動は過激化の一途をたどるばかりであった。
 特に,「竹島問題」「朝鮮学校授業料免除不許可問題」「朝鮮学校助成金問題」などでは,一般の人を巻き込みながら,ヘイトスピーチやその行動を正当化しようとしている。また東京においても,新大久保外国人排斥デモなど深刻な人権侵害問題が多数,起こっている。さらに,すでに有罪判決をうけて執行猶予中の在特会らのメンバーが,ロート製薬などに対して新たな襲撃事件を起こしている始末である。
 有罪判決は,何の歯止めにもなっていない。事実無根の言いがかりをつけ,言いたい放題・やりたい放題の限りをつくす彼ら彼女らを結果的に「放置」してしまっている現状では,被害を受け,苦痛にさらされた者が自ら目をつぶり,耳をふさぎ,息を潜めて生きていかなければならない。これを「民主主義の崩壊」といわず何といえばいいのか。
 刑事訴訟だけでは限界がある。彼ら彼女らの行いの過ちを明らかにし,差別を許さず,暴力を許さない社会をめざすために,私たちは民事訴訟に踏み切る。
 今後とも,徳島県教組は,排外主義を許さない立場で,共生社会をめざす運動をさらにすすめていく。これから始まろうとする裁判にむけて,組合員の積極的な傍聴行動や報告集会の参加を提起する。自らの主張のためには手段を選ばず,一方的に罵声を浴びせて攻撃するという民主主義の根幹を否定する人たちを私たちは決して許すことはできない。徳島県教組は,多くの支援者とともに,今後もさらなる闘いを続けていくことを決議する。

2013年8月5日
第165回徳島県職員組合中央委員会




2013年8月6日民事裁判提訴の記者会見メッセージ(元書記長)

 この3年間というもの、一日たりとも、あの忌まわしい事件のことを忘れたことはありませんでした。教育にかかわる者として、教育を受けることが困難な状況にある子どもを支援していくことは、当然のことです。私は、教職員組合の専従役員として、組織決定に基づき「子ども救援カンパ」に取り組みました。そのことに何らやましいことはありません。にもかかわらず、大人数で押し掛けて私を取り囲み、怒号と罵声の渦中に晒され続け、身の危険さえ感じました。襲撃されたと言っても過言でない状況に陥れられたことを許すことはできません。この間ずっと、組合として刑事処分を求め続けてきました。そして、彼らの犯行そのものは違法であるとの判決が下されました。しかし、彼らの怒号と罵声の数々は、刑事裁判では評価しつくせないと思っています。
 私に対する数限りない暴言の一つひとつを、なぜ私はこれから忘れる努力をしなければならないのでしょうか。事実無根のことを言い連ね、言いたい放題やりたい放題の限りを尽くした者が、謝罪することもなくまかり通ってしまう社会を認めてしまうことになりかねません。このようなことが制裁を受けないで表現の自由だとされることに、ふつふつと怒りがこみ上げてきました。
 排外主義的なヘイトスピーチに対する規制法が確立していない日本だからこそ、人権侵害する言動、人を恐怖に陥れる言動に対し、裁判所がしっかりと対応する必要があると判断し、訴えを起こしました。これまで私だけでなく多くの人たちがヘイトスピーチによる苦痛を受けてきています。裁判によって、二度と私のような苦痛に晒されることのない社会の実現を求めていきたいと思っています。





なお、この民事訴訟の被告は「在日特権を許さない市民の会こと高田誠氏」の1団体と他10個人であり、徳島県教組襲撃事件に参加しその後も排外活動を繰り返している被告らである。
損害賠償額は計1683万円。内訳は業務妨害、建造物侵入、名誉棄損による損害賠償及び慰謝料である。