朝鮮学校嫌がらせ事件第6回口頭弁論傍聴記

えー、京都ではいまコンチキチンのお囃子が聞こえます。
京都は祇園祭の本番を迎えようとしているんですが、祇園祭の14日から出店が出るそうです。そこにね、酒造メーカーよりの出店があり、ここの御蔵出しの酒が大変ウマーなんすよ。もうね、夏の糞暑い日にここの冷酒かっくらってウマーーー!したら最高じゃないですか。ウマーーーー!ですよ。ウマーーーー!してクダ撒いて路上で寝ころがって、裸になって、鉾にのぼってウンマーーーー!ともう最高。

そんな、近いうちに何かで捕まるかもしれない私の裁判傍聴記です。




本日の裁判の傍聴を求める抽選は席を人数が下回り無抽選となったが、裁判前に席のうまり具合を確認してみると空席は3つ程で、かなりぎりぎりの無抽選だったようだ。席につくと被告席には、今日は早めに代理人の徳永弁護士と在特会副会長の八木氏の二人が座っている。傍聴席には一人を抜いてほとんどが学校支援者となっていた。


まず、裁判冒頭で学校側弁護団より、今回被告側から提出された被告側第5準備書面内にある「50年に渡る不法占拠」はという文言は、前回被告側より提出された刑事裁判資料から根拠のない嘘と認定されている背景もあり、その文言の訂正を被告側に求めた。これは裁判長判断によりそのままになったが、後に弁護団よりその文言は一人称であり公の法廷内で徳永弁護士が陳述する事は徳永弁護士自身が名誉棄損にあたるとの指摘をおこなった。
そのように、裁判官、弁護団、被告側3者のやりとりがあり、続けざまに学校側弁護団による書面陳述が行われた。



以下、学校側弁護団より配られたよる第10準備書面のダイジェスト。
内容は今までの出された学校側準備書面の論点を整理し出されたものである。

1、 人格権としての民族教育実施権
本件において、被告らは、原告の「民族教育実施権」を侵害した。原告の民族教育実施権は、児童らの民族教育を受ける権利を実質的に保障するために極めて重要な意義を有する権利である。民族教育実施権は、憲法、国際人権法上も手厚い保護のもとに置かれるべき権利である。
原告による民族教育実施権は、日本に住む在日朝鮮人の個人の人格的生存に不可欠であり、かつ、民族教育を実施する原告にとっても本質的かつ不可欠な権利であるから、侵害行為に対する差止や損害賠償が認められる。

2、 被告らによる侵害行為の内容
被告らによる侵害行為は
① 多人数により原告方に赴き拡声器を用いるなどして街宣活動・デモ活動を行うこと。
② 「ヘイトスピーチ」を含む名誉棄損、侮辱的発言を行うこと。
③ 撮影動画を動画投稿サイトにアップロードすること。
である。これらの行為により、以下のとおり、原告の民族教育実施権が侵害された。
1 ヘイトスピーチによる民族教育事業の目的そのものへの阻害、従前の教育効果への影響等。
被告らの街宣行為での発言内容は「ヘイトスピーチ」に属するもので、まさにこの自尊感情、自己肯定感に対して直接の攻撃を行うものである。その攻撃的な表現態様もあり、長年にわたる民族教育の効果の蓄積を、一瞬にして消失させかねない悪質な侵害行為であり、民族教育実施権に対する違法な侵害と評価すべきである。
2 虚偽の事実摘示による原告及び学校の名誉権侵害。
被告らは街宣行為において、虚偽の事実を摘示して学校の名誉及び信用を毀損し、原告の民族教育実施権を侵害した。
3 侮辱的発言による社会的評価の毀損。
原告らは各街宣において、原告に対し、公然と侮辱的発言を行い、原告及び本件学校の社会的評価を毀損し、原告の民族教育実施権を侵害した。
4 街宣動画のアップロード
被告らは、上記街宣行為の撮影動画を、動画投稿サイトにアップロードし、侵害行為の重要な一要素を構成している。
5 街宣行為の物理的妨害による授業妨害行為。
被告らは、学校教育の実施の最中に、街宣行為・デモ活動を行うことにより、授業を妨害し、また、当初予定していた授業内容を変更せざる得なくし、民族教育実施権を侵害した。



被告らの準備書面に対して

1、「原告は教育基本法及び学校教育法に基づくものではなく」と繰り返し主張すること。
その趣旨は不明である。教育基本法に基づき学校教育法が制定され、学校教育法は1条に定める「学校」(いわゆる「1条校」)の他に各種学校の定めを置き(同法134条1項)、各種学校に、1条校に適用される多くの条文を適用している(同法134条2項)。本件学校はこの各種学校であり、京都府知事の認可を受けているものである。
被告らは、「“朝鮮学校といいますが、これはただ自分達が学校と言う名前をつけただけであって我が国の認可を受けた学校ではない”(1月14日)“朝鮮学校は学校ではありません”(3月28日)は事実に基づく表現であるから、原告に対する非難でも誹謗中傷でも名誉棄損でもない」旨を主張する。
しかし「朝鮮学校は日本から出ていけ」などと叫ぶ街宣活動の中で「朝鮮学校は学校ではありません」と叫べば、これは非難であり誹謗中傷となる。したがって、事実であれば非難・誹謗中傷にならないかのような被告らの主張は失当である。

2、 本件学校の教科書へ言及すること。
念のために述べると、本件学校で使用している教科書は、歴史的変遷はあるが、現在は日本の学習指導要綱や検定教科書も参考にしつつ作成しており、ただ国語と社会については、日本のそれではなく朝鮮のそれを教えているという違いがある。
被告ら主張の「北朝鮮労働党が検問している」という事実は無い。歴史科目は基本的に国家の政治史という性質を持つから、立場によって解釈が異なるのはやむを得ない。(被告らは「李氏朝鮮の圧政から解放した日本統治」などと主張するが、「圧政」「解放」は多分に主観的評価を含む言葉であり、自らこのような主観的評価に満ちた歴史観を表明しながら、朝鮮学校の教科書の記述を云々するのは自己矛盾であろう。
朝鮮学校の歴史は、草創期の困難を朝鮮民主主義人民共和国からの援助により乗り切ったという歴史があり、草創期には祖国への帰国を前提としていたことから、教育内容も祖国の形成者を育てることに重点が置かれていた。その後日本社会への定住化が進んだ事から、日本社会において日本人と平和的に共生することを主眼とした教育へと変遷を遂げて、現在に至っている。

3、 朝鮮総連朝鮮学校への印象を悪くする言葉を並べ立て、攻撃を正当化しようとしていること。
これが正に人種差別攻撃の手法である。差別とはすなわちレッテル貼りである。被告らは、本件各不法行為に重ねて、弁論に置いてまで差別的言説を繰り広げることを止めるべきである。


続いて被告側の陳述が行われ一部抜粋すると、アメリカの判例を持ち出し、少数民族の特権についての裁判事例とか、毛利透著「民主政の規範理論」からのアメリカの憲法論議を引用し、在特会の政治信条として「日本国内の差別問題は解消されており、在日が我が国の国民よりも保護優遇されている現実は逆差別であり国家主権にかかわる問題である」「勧進橋児童公園は50年に渡り不法占拠されており、役所、警察も動かずに被告らが抗議するまで放置されていた。これは典型的な逆差別であり国民主権が侵されている」「在特会の活動は少数であり、将来に渡っても多数をしめる事はなし、主張が憲法に反映されとは思わない」「将来に渡って少数に留まるであろう彼らの主張は一つの政治信条に基づく表現行為として保護され尊重されてしかるべきである」「弁論が誤っていると思うなら弁論で反論すればよい」等と述べた。

この書面について筆者は、ちゃんと裁判記録を見た上で再度論評を加えたいと思うのだが、恐らく引用された毛利透氏にとっては迷惑この上ないものでないだろうか。少数者の権利保護のために張られた論陣が、よりよってその少数者の権利を破壊するファンクラブのために引用されているのだから。
被告側代理人である徳永弁護士はここで奇妙奇天烈なロジックを使っていると言わざる得ない。
在特会は日本人であるこの国の「マジョリティ」による主張をなす「ファンクラブ」である。会員にかって在日コリアンが在籍したとか、今もいるとかという隠れ蓑的言い訳などは通用しない。どこまで言ってもマジョリティの立場から以外の何者でもない。
そしてその主張は「人種差別」的言質に満ちたもので、その「愛国者」を気取った馬鹿げた主張があるがために本人らも認めるとおりの少数者となっているだけだ。
つまり、人種による立場から少数者を排撃する多数者である点は揺るぎのないファンクラブであるにもかかわらず、馬鹿な主張のために少数者に留まっている事をもって権利保護とは詭弁も極めりとしか言いようがない。
はっきり言うが、ヘイトスピーチが権利保護される表現の自由など認めてはならないし許されてはならない。
しかし、まあ、また繰り返し書くけど、自分達はファンクラブですよから始まり、仮処分は知りませんでした、学校側書面はよくわかりません、刑事裁判の判決文は理解できていませんと続き、今回は「自分達は少数者だから保護して」と情けなさでお母さん涙が出てくるわ。

ちなみに徳永弁護士については「表現の自由」に関しては大変よく勉強をしているという評価は確かにある。しかし、その表現の自由なるものがヘイトスピーチをも認めるための道具に使われているとしか見えない。一度顧客を変えてマイノリティの権利保護のために戦ってはいかがだろうか。当然資金のないマイノリティなので手弁当で。そうする事によりその「表現の自由」はとても輝いたものになり毛利氏の意図するものとなるのではないだろうか。


最後に裁判終了後の報告集会において12月4日の事件当時、3人の子供を通わせいた朝鮮学校父兄の方の挨拶があり、事件当時の子供たちの反応が語られた。
「3人の子供は当時、全員学校におりました。真ん中の男の子は当時三年生でしたが、教室でみんなと涙流して泣いたと言っていました。一番下の一年生の女の子なのですけど、その後家に帰ってきまして数日たちまして、自分は何で朝鮮人なのだと?朝鮮学校に通っているから朝鮮人なのか?自分が朝鮮人である事を疑問に思うような質問がありました。他の方らのお話を聞きまして、もう学校にいきたくないという話も聞きましたし、ある子は自分のお母さんに対して、その方は学校の役員をされいる方なんですけど、子供が学校に来ては駄目よと、殺されるから来ては駄目だと子供が言ったそうです」
一部抜粋であるが、絶句した。今は傷も癒えてきて支援者にも感謝の言葉もあったが、あの事件がいかに残酷であったかを思い起こした。


次回公判日程 9月27日(火曜日)午前11時より。弁論予定。
次々回 10月25日(火曜日)午後1時30分。DVD取り調べ予定。
次々次回11月29日(火曜日)午後1時30分。内容未定。




本日のグルメレポート
阪急西院駅のそば、パン屋さんホンダ。ここのアンドーナツはGOOD!もちもち触感に甘さもそれなりのバランス。夕方には売り切れているのでお早めに。