第5回口頭弁論追加(被告側第3、第4準備書面)

私は京都鴨川デンジャラスゾーンの愛好家である。
京都鴨川デンジャラスゾーンというのは、鴨川でパンなんかを食べていると、いきなり上空からトンビが現れ、パンをかっさらっていくのだ。これはニュースにもなっておりパンを持つ手が引っかけられたりして問題となっている。
しかしだ。私は違う!だって、トンビかっこいいもん。トンビは凄いのだよ。遠く離れたとこから音もなくすーっとパン取っていくんだよ。あのピーヒュルルルーという鳴き声も切なくていい。もうね、私ね。トンビと友達になりたいのよ。トンビにパンを食べてもらうためなら手だろうがどこだろうが少々血を流してもいいと思っているくらい、トンビが好きだ。
鴨川で血だらけになりながらも、笑いながら、トンビにパンを食われている人を見かけたら、それは私です。決して通報しないで下さい。

・・・・。えー、だから、それがなんなんだよと、お怒りの皆様へ裁判記録ですよ。






さて、第5回口頭弁論時に被告側より、刑事事件に関する資料が提出されていたのが確認できた。さらに、街宣禁止となる仮処分に対する被告側第3準備書面と、先に紹介した「在特会の声明」なるものを盛り込んだ被告側第4準備書面が確認された。以下、被告側書面を記す。


まず、この被告側第3準備書面では、京都第一朝鮮初級学校から半径200m以内での街宣等の禁止とした仮処分に対するそれぞれのいい訳が並べられている。
京都新聞朝鮮学校周辺の街宣禁止京都地裁 仮処分を決定」
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P20100324000209&genre=D1&area=K00



被告側第3準備書面(筆者要旨)

第一 仮処分決定の通知について(被告西村斉、西村修平、八木、川東、荒巻及び中谷の認否の補充)
1 街宣活動禁止仮処分決定の発令、新聞報道、原告関係者が京都南警察書に持参した事実は認める。
2 西村斉への仮処分決定通知書の送付された場所はマンション管理室であり、住んでいるとこは同じ敷地の違うとこで、母親から通知書をもらったのは4月6日。
3 西村修平に仮処分決定通知書が来たのは街宣後の3月28日。発令したのは知っていたが、決定の対象当事者、内容は知らなかった。
4 在特会に仮処分通知書が来たのは街宣後の3月28日。発令したのは知っていたが、決定の対象当事者、内容は知らなかった。
5 中谷は新聞報道により事前に仮処分の発令はしっていた。但し、決定の対象当事者、内容は知らなかった。
6 川東、荒巻が仮処分決定の事実を知ったのは街宣終了後。事前に認識していたという主張は否認する。他のデモ参加者は仮処分決定は知っていたかどうかは知らない。


以上、要は新聞により仮処分は知っていたが、内容まで知らなかった或いはもともと知らなかったという、絶句ものの言い訳だ。しかし、この仮処分決定については上記京都新聞はおろか、各新聞で報道されていたと記憶している。被告書面で自ら白状しているように新聞報道で知っていて内容を知らないといけしゃしゃあと言ってのけるその破廉恥さに呆れる。これは、仮処分決定という自らの活動に関わる重要事項を調べようとすらしない、被告らの自らの怠慢、活動に対するいい加減さを白状していると気がつかないのだろうか。
ファンクラブの件といい、この「私はいい加減なもので知りませんでした書面」といい、なんでここまで自らを貶める情けない言い訳に終始するだろう。被告らは恥ずかしくないのだろうか?
こんなものが司法に通用するわけがない。もう少し考えて書面を出してほしいものだ。

被告らの仮処分後の風景とお粗末さはこちら。
三羽の雀「【在特会3・28京都デモ】知らないふりして京都地裁の仮処分決定を無視したかったとしか思えない在特会会長・副会長」
http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20100329/p1
三羽の雀「在特会らによる朝鮮学校再襲撃を禁じた仮処分決定(京都地裁)は当然」
http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20100325/p1



次に以下第4書面を記す。

被告側第4準備書面


第一 被告西村斉、被告荒巻、被告川東及び被告中谷に対する刑事事件判決
1 本件訴訟において被告らの不法行為があったとされる平成21年12月4日の京都第一初級学校前での抗議活動に関して、西村斉、荒巻靖彦、川東大了及び中谷辰一郎につき、威力業務妨害罪及び侮辱罪に問われた刑事事件(なお、被告中谷を抜く3被告については原告とは無関係の建築物侵入被害事件も併合されている)に対し、第一審の京都地裁第二刑事部は、平成23年4月21日、被告西村斉に懲役2年、荒巻及び川東に懲役1年6月、中谷に懲役1年を宣告し、被告らがいづれも本件が違法とされれば、その活動手法を改めると述べていること等を理由に、それぞれ裁判確定の日から4年の執行猶予を付した。

2 被告中谷は同一審判決に対し、被告らの正当行為性を認めず、侮辱罪に該当する言論について特定しなかった事を不服として控訴したが、西村斉、荒巻、川東の3名は控訴せず一審判決が確定している。なお、同事件の審理の内容は検察官の論告要旨及び西村斉の意見陳述及び弁護人らの弁論要旨のとおりである。


第二 本件訴訟に対する被告在特会の声明

内容は先のエントリーである「在特会の声明なる書面」と同一。
http://d.hatena.ne.jp/arama000/20110527/1306471807


第三 不法行為に基づく法律構成について(含む求釈明申立)
1 原告は第10書面において本件損害賠償の法的根拠を整理しているが、その内容は①被告在特会を除く各被告に対する不法行為民法709条、710条)に基づく請求、②被告在特会に対する使用者責任民法715条一項)に基づく請求、③被告主権回復を目指す会こと西村修平に対する1月14日と3月28日各街宣行為につき使用者責任に基づく請求という極めて概括的なものにとどまっており、原告が主張する人格権侵害の法的構成については何ら整理されないままである。

2 被告らの街宣行為における不法行為性は、その表現方法または手段について、威力業務妨害不法行為に問われていることは明白であるが、その表現内容による人格権侵害の不法行為にかかる原告の主張については未だに明白になっているとは言えない。およそ表現内容による人格権侵害として、従来の判例が認めているのは、その社会的評価を低下させる名誉棄損の不法行為とプライバシー侵害の不法行為の2つの範疇だけである。原告はかって判例のない「ヘイトスピーチ」による人格権侵害を主張するが、その成立要件及びこれによる損害の内容について、いまだに明確になっているとはいえない。(この点については次回以降に行う総括的反論で詳らかにする所存である)他方、原告はその損害主張において、原告の社会的評価の低下を主張しているにもかかわらず、名誉棄損の不法行為を主張するのかどうか明らかにしていない。(これを主張するのであれば、被告において抗弁として、それが公共の利益に関するものであり、専ら公益を図る目的に出たものであること、更には、当該言論を意見表明か事実適示かに分類し、摘示事実ないし意見表明の基礎として前提事実につき、真実性(ないし真実相当性)を主張して立証することになる。

3 よって原告は、被告らの本件各街宣行動における言論内容について名誉棄損の不法行為ないしプライバシー侵害の主張するのかどうか、そしてこれを主張するのであれば被告らによる名誉棄損の言論(事実言論ないし評価言論)を具体的に特定されたい。またヘイトスピーチに問擬する言論を具体的に特定されたい。


第四 差止請求について(含む求釈明申立)
1 原告は請求の趣旨第一項及び第二項の各(2)(3)(4)は、いづれも被告らの表現内容について事前抑制を求めているものである。いうまでもなく、憲法の21条による表現の自由の保障には、事前抑制の原則的禁止が含まれていることは一般に承認されている。最高裁判所北方ジャーナル事件判決(最判昭和61年6月11日大法廷判決・民集40巻4号872頁)において、公務員または公職選挙の候補者に対する評価・批判といった公共の利益に関する事柄にかかわる表現行為の事前差止は原則として許されないとしつつ、その表現内容が真実ではなく、または、それが専ら公益を図る目的のものではないことが明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあるときは、例外的に事前差止も許されるとしている。
被告らの本件各街宣行為における演説等の表現行為は、いづれ都市公園法に違反する公園の不法占拠という公共の利益に関する事実を対象とする批判論であり、それが公共の利害に関する事実であることは明らかであるために、事前抑制の原則禁止が妥当とするところ、前記最高裁の例外的要件に照らし原告において被告らによる各表現活動が真実ではなく、または、それが専ら公益を図る目的のものでないことは明白であって、かつ、被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがないことを立証する必要があるものと解されるが、本件で問題とされている表現内容はいづれも被告らが専ら公益を図る目的で表現したものであることは明白であり、真実でないことが明白であるということもできない。
よって、原告による請求の趣旨第一項及び第二項の各(2)(3)(4)の請求は原則として禁止されている事前抑制であり、これが例外的許容される要件を満たしていないことは明白である。これらの趣旨にかかる請求の原因は主張自体失当であるといわざるえない。

2 原告は前記最高裁判決の内容に照らして請求の趣旨第一項及び第二項の表現活動の事前抑制について、その請求原因を補充する用意があるのかどうか、補充するのであればその内容を明らかにされたい。以上。



まず、この書面の第一については刑事裁判のあらましを述べたものあり、証拠物として、刑事事件裁判判決文(乙号4号証)、検察からの論告要旨(乙号5号証)、西村斉氏最終陳述(乙号6号証)、被告のそれぞれの弁護人からの弁論要旨(乙号7,8,9,10号証)が添えられている。
また、第二は先のエントリーで紹介した「在特会の声明」なるもので、先の口頭弁論の公判中に在特会副会長の八木氏が朗読したものだ。準備書面なのか陳述書かよくわからないものだったが、ようは書面の中に含まれていたものなので、先のエントリーのタイトルはそのままでいいかと思う。

さて、第二の「在特会の声明」なるものに対する批評は「僕の言いたい事」として前エントリーで述べたように、社会にまったく通用しない「日本人が差別されている」等という一方的な妄想を披露されても司法に通じないだろう。むしろ「被告らは、ああ、こういう人たちなのだと認識されるだけではないだろうか。

さらに、第三の「 不法行為に基づく法律構成について(含む求釈明申立)」だが、もう、今更何を言っているのだ?という感がある。被告側は学校側弁護団の今まで出してきた準備書面をちゃんと読んだのだろうか?
「人格権侵害の法的構成が整理されていない」はまだしも(それでもいちゃもんレベルと思うが)、ヘイトスピーチに対する成立要件、被告の具体的なヘイトスピーチというものは第1、第2、及び第5準備書面においてしつこいほど繰り返し述べられているではないか。

はやく仕事しろ>俺「京都朝鮮学校いやがらせ事件第3回口頭弁論傍聴記1」(第5準備書面要旨)
http://d.hatena.ne.jp/arama000/20110215/1297798318

いったい、被告側は今まで何をしてきたのだ?
脱力せざるえないのだが、続いて「この点については次回以降に行う総括的反論で詳らかにする所存である」とあるので、是非にも一方通行ではない社会に通じるもので、頼むから「表現の自由」とかで、再び書いた方が卒倒しそうな引用はやめて、誰にも迷惑をかけないオリジナリティ溢れる「総括的反論」を願いたいものだ。

次の第四であるが、これは仮処分通知に対する言いがかりと言える。
まず、ここでいう「請求の趣旨第一項及び第二項の各(2)(3)(4)」というのは以下のものである。
「訴状の請求の趣旨」(仮処分の内容)
第一項 被告らは次にかかげる行為をしては・させてはないけない。
① 児童、その他原告の関係者に面談を強要すること。
② 半径200mの範囲で拡声器、大声、非難、誹謗中傷するなどの演説をすること。
③ ビラをまくこと。
④ 旗、幟を上げ、止まる、徘徊すること。
第二項 西村父は自動車を次に掲げる行為に利用させない。
上記、第一項と①②③④同じ。

この上記仮処分内容を「北方ジャーナル事件判例」を持ち出し「事前抑制の原則禁止」として失当であるとしている。
ま、言うのは勝手なのだが、12月4日の襲撃事件は刑事裁判において有罪となり、犯罪と認定され、(中谷氏の上告は、あくまで自ら発した文言に対するものと思われる)その犯罪性は立証されていると言っていい。その被告らが続けて行う街頭宣伝が、公益目的と言い張る厚顔無恥さにただ呆れる。
はやく仕事しろ>俺「京都・徳島襲撃事件刑事裁判判決文」
http://d.hatena.ne.jp/arama000/20110514/1305386990

上記判決文においては、被告らの公益性なる主張は何一つ受け入れられていない。判決文を100回は読んでその意味を理解すべきではないだろうか。


以上。今回は被告側「第3・第4準備書面」を紹介したが、ただ、呆れるばかりだった。
自分達はファンクラブですよから始まり、仮処分は知りませんでした、学校側書面はよくわかりません、刑事裁判の判決文は理解できていませんと、これが被告側のいう裁判闘争というものだろうか。情けないにも程がある。自らを貶めているのか元々そうなのかは知らないが、自らの正当性を主張するための裁判なのだから、ガキのいい訳じみたものはもうやめてほしい。


最後に次回第6回口頭弁論の内容。(7月12日 火曜日 11時開廷)
○原告    被告の求釈明に対する回答を記載した準備書面を提出する。
○当事者双方 証拠調べの予定・方法について検討し、次回期日までに書面で提出する。



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