京都朝鮮学校いやがらせ事件第四回口頭弁論傍聴記

いやね、某ジャーナリストに聞いた話なのですが、取材のためにピンポン鳴らしたら、ドアからいきなり素っ裸で下半身丸出しのおっさんが出てきて、「ちょっとまってくれ。今、パンツはくから」と言われたそうだ。
・・・いや、おっさん。ドアをあける前にする事があるだろうと思うのですよ。
この話の教訓。
① ジャーナリストも大変だ。
② おっさんには幸せになってほしい。
そんな筆者の傍聴記です。





裁判の傍聴券を求めている時に、いきなり大声で怒鳴る声が聞こえたので振り向いたら、チーム関西・在特会の街宣に参加している男性がいた。どうやら学校側支援者に場を移動してほしいと言われたようで、その場で激怒して拒否しているようだった。ひと悶着はあったが、すぐに彼は公安に取り囲まれ在特会側指定の裁判所右側に移動していった。彼は恰幅のいい体で丸坊主。肩を揺らして虚勢を張っているかに見えるのだが、なんであの連中は余裕のある態度ができないのだろう。

さて傍聴席を求める抽選は、傍聴したい人の数が用意された傍聴席の数を少し下回り、無抽選となり、いそいそと101号法廷へ。見ると先ほどのチーム関西の男性が右隅にいたので、後ろに陣取り観察しながら裁判を傍聴する事となった。
その彼の他は記者を抜きほとんどが学校側支援者であった。

裁判官らが法廷に入場し、さっそく審理がはじまる。
裁判長より、原告、被告側双方で今回だされた書面の紹介などがあり、まず弁護団より出された第9準備書面についての朗読がされた。(ちなみに第8準備書面は前回弁論で出されており、内容は被告らがこの間おこなったヘイト活動についての言及であった。)
この第9準備書面は開廷前に支援者に配られた要旨と、閉廷後に行われた報告集会にて頂いた全文のものがあるが、全文は長くなるので要旨のほうを写させてもらう。
なお、この第9準備書面の内容は、原告第一準備書面でも主張したものであるが、さらに(本件学校の教職員らが)本件に対して要した時間・労力等、及び弁護士費用に関する追加主張をおこなうものである。

第9準備書面
本件学校の教職員らが対応に要した時間・労力等
本件学校においては、2009年12月4日の在特会による京都朝鮮第一初級学校に対する襲撃事件から1年以上を経過した現在においてもなお、毎日午前8時から9時までの児童らの登校時には、南門と北門に教職員一人ずつを配置し不審者がいないかの確認(学校周辺の身守り)を継続せざる得ない状況にある。特に、被告らの街宣行動の予告や行為直後の教職員らの心理的負担、対応に要した作業量には想像を絶する。
12月4日の街宣行為に関する予告があって以降、平成23年3月24日までにつき、教職員らの対応時間は、述べで765.5時間を下ることはなく、これが全ての対応を網羅するものではないことを併せて考えれば、本件学校の負担が莫大である事は明らかである。
今日においても、原告の通常業務ないし充実した民族教育事業の実施に大きな支障を与えつづけている。保護者、教職員、児童らの学校関係者は、一体いつになったらこうした影響が消えるのかと感じながら、出口の見えない不安な状況で学校運営を続けている。このような事情は、京都朝鮮第一初級学校が受けた莫大な無形損害の一端を基礎づけるものである。

対応の具体的内容と各教員の心理的・無形的負担について
事件以前と以後、教職員らは街宣予告を受けて対策協議を行ったり、街宣活動当日の直接の対応、その後の教職員会議、学校周辺の見守り及び(街宣に関する)保護者説明会を行うなど等、多くの時間を割かれている。教職員らは、授業準備、部活動の指導、児童らの送迎、学校運営に関する雑務等多岐にわたる通常業務を遂行しながら、被告らへの特別な対応を行っており、その負担は極めて大きく、学校事業にも支障をきたした。
このように各教職員においては、特別な時間・労力を割いて対処することを余議なくされた。このため、教職員らにおいては、万全の態勢で、在籍する多数の児童らへの民族教育を実地できない状況に追い込まれている。
さらに、教職員らは、街宣行為前にはなかった抗議電話、無言電話があるたびに、仕事の手を止め電話への対応に当たらざる得なかった。場合によっては、抗議電話が数十分続いたり、連続して無言電話が掛ってくる事もあり、仕事が長時間中断されることになった。
本件学校が現に甚大な損害を被っていることは明らかであり、これを原告の無形損害として適切に評価すべきだ。被告らの行為のために、本件学校の教職員らはその対応に多大な時間・労力を割かれる事を余議なくされ、民族教育事業を実地することが困難な状況に追い込まれた。本件学校は表面的には通常どおりの学校運営を行っているものの、実際には教職員、保護者、関係者らの必死の努力によって学校事業が意地されてきたのである。従って、被告らの不法行為による損害としての、高額の無形損害が認定されるべきは当然だ。

弁護士費用に関する主張の補充
弁護士費用に関する損害は、事案の特殊性・困難性等の諸般の事情に鑑み、一般よりも高額とすべきだ。本件刑事手続きについては、12月の事件直後の段階で、複数弁護士に弁護団を組織して告訴手続きを遂行するように依頼した。この際、本件学校児童の安全確保と不安解消を早期に実現せねばならないという事案の特殊性から、単なる告訴状提出に留まらず、迅速処罰の要請を捜査機関に説得していく事も委任内容となった。このために告訴状の内容も、通常の事実摘示と処罰意思の表示に留まらず、本件学校事業の内容及び歴史性の調査をして要保護性の高さを明らかにし、被告在特会等の本質と告訴対象行為の際立った悪質性を、説得的論拠とともに示す必要があった。同時に、迅速性の要請が高かったため、収集された情報を、短期間で書面化して提出する必要があった。
被告らは、2010年1月14日、同年3月28日と悪質な街宣活動を繰り返した。原告は、これらの街宣をインターネット予告がある度に、代理人弁護士に対し、これも新たな街宣に対する法的対応(警察官との警備体制の協議、学校関係者への助言、指導、仮処分申立て等)を追加して委任する必要が生じた。
心身共に未成熟で繊細な児童らが通う教育施設に対し、差別的街宣が繰り返された本件において、それぞれの段階で、早急に法的措置を講じていく強度の要請があった。複数の法的手続きを同時並行的に、かつ、迅速に行っていくために、一定の弁護士の人員を確保して受任体制が必須であり、この点も、後述の裁判例の趣旨に照らし、弁護士費用分の損害を増額すべき事情として重視すべきだ。
以上要旨であるが、本書面には教職員らの負担時間の述べ時間である765・5時間を下回る事はないという、労力を割かれた日付と時間及び具体的な行動が事細かに表とされており添えられている事を記しておく。
また、学校側弁護団は上記第9準備書面の朗読を行ったが、最後に被告側第一準備書面に記され、被告側が持ち出した「表現の自由」なるものがいかに本件事件の実態の射程外にあるものであるのか、そして被告であるブレノ氏、美久氏の言い訳についての反論を次回に行う事が述べられた。


続いて、被告側弁護士徳永氏が裁判前日の18日に提出した被告側第二準備書面を要約した陳述が行われた。
その内容の一つは被告在日特権を許さない市民の会の訴訟能力がない。被告在日特権を許さない市民の会は在日問題を広く一般に提議しいわゆる「在日特権」をなくす事を目的とした法人格をもたない市民の集団である。(ここで法的根拠を言ったが聞き取れず)まず社団性を有した集団ではない。次に原告が請求している損害賠償請求は在特会に直接行ったという法展開のようである。そして社団性を有しない在特会を訴えるのは問題がある。
次に被告6名の認否を行っている。また原告が述べている民族教育事業については、いろいろな批判がされている。独裁者を首領としイデオロギーによる教育を行い、拉致事件における批判から目をそむけている。本件を差別問題とすり替えているという主張はあながち間違いではない。原告準備書面でうたわれている民族教育の理念と教室に掲げられている肖像画のギャップの大きさに愕然とする。純粋な民族教育ではなくイデオロギー洗脳場である。(以上であるが、本準備書面はそのうち記録を見て紹介させて頂く)

まず、被告側書面の要旨を聞いて不思議でならなかったのは「法人格を持たない市民集団で訴訟能力がない」とはなんだろう?これは後の報告集会で書面を読んだ弁護人からの説明によれば、まず法人ではないのはそのとおりなのだが、在日特権を許さない市民の会というのは、一般市民に開かれた不定形集団、形があやふやな集団で不特定多数からならファンクラブ、ないしサロンの趣があるという言い方をしており、被告側が言いたいのは法人のようなかっちりした団体ではないし、その他いろいろ団体としては不明確な部分も多いので被告になる適格がないという事だそうだ。
もう何を今更である。お父さんは情けなくて涙が出るわ。
散々に在特会は全国で1万人の会員がおり、桜井誠氏(本名 高田誠)を頂点に副会長らが地方組織をまとめ各支部があると吹聴し、在特会の口座によるカンパも集め、組織活動として各地でデモや集会を運営してきたのではないのか?桜井誠氏(高田誠)は、最後は自分の命令が在特会の最後の決定であり、会長命令は絶対だとこの間どれほど啖呵をきってきたのだ?そんなファンクラブが何処にあるのだ?つうか何のファンクラブだ?おい。
ちなみに訴訟能力というのは法的に当事者能力という事であり、当事者能力のないものとしては法的に、動物、幼児、認知症で自分では内容を理解できない人などが認められているそうだ。
あと、在特会の書面の骨子として、「我々のやった活動は排外主義ではなく、在日コリアン一般を敵視したものではなく、朝鮮学校が行った公園不法占拠を糾弾するという政治目的で行ったにすぎない。そして政治目的だから許される。もちろん子供達を対象にしたものではない。原告のいう民族教育権は一般論としては認めるけども、朝鮮学校のものはイデオロギー教育だ」というものであったとの発言がされた。
この理屈構成は予想された範囲のものではあったが、ともかく被告らは一般の在日コリアンを敵視していない、子供を対象にしていない、民族教育権も認めていますとその場の言い繕いをもって事件の矮小化を狙っている。しかし、あの街宣の映像を見れば、排外意識のだだもれは一目瞭然ではないか。また刑事事件では単なる粗暴犯でありながらも、さも日本国民のために自分達は朝鮮学校を抗議したのだと逆に事件の拡大化を主張したのとは対照的な姿勢で、自分達に都合よく屁理屈をこねているふうにしか聞こえない。先の訴訟能力をもたないファンクラブの話と合わせ、とても裁判に耐えられるものと思われないが、学校側弁護団の反論をまちたい。


さて、徳永弁護士の陳述が終わり、裁判長より今後の主張予定を問われ、12月4日、1月14日、2月28日に行われた街宣の差別的と言われるものに対する事実関係の書面を出すことが明らかにされた。さらに裁判長より法人格に対する証拠などの提出はもうないとの趣旨の発言もされた。って、その理屈、既に放棄しているような・・・。また証拠調べに対して重要となる刑事裁判の資料が被告側より提出される事も確認され、次回の日程が決められた。

最後に、どうも筆者は被告側書面が出揃ったら結審の運びになると思っていたが、それは間違っていた。学校側弁護団は今回出された被告側準備書面を叩き潰す気まんまんで、さらなる反論書面を準備するとの事。さらに証拠調べにおいて証人尋問が予定されている模様だ。
次回、5月24日11時 101号法廷にて



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