京都朝鮮学校いやがらせ事件第二回口頭弁論傍聴記 2 

続けて第二準備書面
こちらは第一と一部重なるところはあるが、主に人種差別撤廃条約(あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約)の観点から朝鮮学校いやがらせ事件に的を絞った準備書面となっている。
まずは項目箇条書きから。

第1 はじめに
第2 条約の適用
 1 はじめに ━ 本件は人種差別事件である
 2 条約1条の人種差別の定義
① 条約1条の規定
② 本件が人種差別の定義に該当すること
 3 条約4条の問題
① 条約の構造
② 条約4条の留保
③ 日本政府の見解
④ 条約2条の義務と4条保留の帰結 
 4 協約6条について
① 条約の構造
② 条約6条の規定
③ 6条の公式解釈指針(一般的勧告26)
④ 金銭賠償における再発防止機能の重視
 5 裁判所における条約適用への委員会の注目
① 本件以前からの一般的関心
② 本件に対する委員会の注目
 6 小結
第3 被告らの侵害行為の態様の悪質性 ━ 条約の観点を踏まえて
 1 はじめに
 2 序論 ━ 人種差別撤廃条約4条に規定される行為であること
 3 動機・目的の悪質性(人種憎悪に基づく人種差別)
① 公園と無関係の攻撃罵倒を各人が終始一貫繰り返していたこと
② 人種的憎悪の表現
朝鮮人か日本人に着目していること
④ 攻撃対象たる個人の無差別性(従前に個人の人間関係は一切なかったこと)
⑤ 近隣住民の立場を考えていないこと
⑥ 他の公園問題への無関心
 4 集団性
 5 組織性
① 総論
② 被告在特会活動の組織性
③ 被告主権回復の組織性
 6 能動性、積極性、扇動性
 7 計画性
 8 反復継続性
 9 過激さの演出のために、あえて違法性の高い行為を選択する悪質性
 10 小結
第4 侵害行為後の加害者の態度
第5 結語

以上。
感想として第2準備書面は訴訟において、通常に見られるほどの法律に基づき加害者がどのような加害をなしたのかを書面としている。こちらも整然と論理が立てられ、まるで訴訟における教科書のような出来ではないかと思われる。
しかし、一点、通常の訴訟と決定的に違うのはこの京都朝鮮学校いやがらせ事件が人種差別であると堂々と主張し国際法を法のよりどころとしているところだ。そして書面はその国際条約に対する日本政府の対応も述べながら司法判断を迫っている。第1書面と同じくこれこそが弁護団の立ち向かわなければならない壁なのだ。差別に対してあまりにも無頓着で鈍い国内司法の判例国際法に基づき突破する事とした弁護団の思いが伝わる書面とも思われる。
あと興味深いのは在特会・主権回復の会に対する分析である。
頂いた資料では内容までわからないが、これもおいおい法廷の場で明らかにされると思われる。
つうか、これは一度弁護団に直接聞いて見たい。


続けて第3準備書面は、勧進橋児童公園を占用したとして朝鮮学校元校長が略式起訴された事への反論・批判となっている。
裁判後の報告集会においても弁護団が述べていたが、京都朝鮮学校いやがらせ事件において、在特会側がまるで勧進橋児童公園を朝鮮学校側が不当占拠していたという主張に対する反論となっており、社会的にどっちもどっちと認識を持たれる事への間違いを指摘するものとなっている。
公園は朝鮮学校京都市自治会との協定に基づいて使用されており、平成21年7月10日に京都市からゴールポストの撤去を持ちかけられたが合議の上で平成22年1月末まではおいても構わないという承諾をえていた事を事実経過として述べられている。ちなみに事件はその直前でおこった。
上記の事実経過からも、元校長の略式起訴は不当なのだが、最初は被害者として検察に呼ばれていたのが次第に加害者扱いになり調書38通作成というとんでもない時間をとられ、事件とは関係ない学校の内実、総連との関係を聞かれるという公安捜査そのものを受けていた事実が語れている。その上で検事に「略式起訴に協力してくれなかったら、校長や原告をどうとでもできる」と脅迫まがいの脅しを受けた。実は先年、京都近くの滋賀朝鮮学校が「車庫とばしの容疑」で何か所かの家宅捜査を受け多くの人が取り調べをされたというこれまた公安捜査の典型のような出来事があり、元校長は思い悩みながら自分一人ですめばと略式起訴を認めるにいたった経緯が述べられている。
ったくもう、なるほどねだ。
あと報告集会で述べられていたが、高速道路建設となった時にはじめて怒鳴り込むようなクレームが役所にあったそうだ。何それ。工事関係者か?ひょっとしたらこの話は事件の事実認定の時に出るかもしれない。


第4準備書面は被告美久氏に対する求釈明と、被告らの一部が12月4日の事件及び徳島での同種事件で起訴逮捕されたことを記載している。
被告らの態度事実の確認で事務上の手続きのような感じか。



以上が第二回口頭弁論における原告団が提出した内容である。
裁判は正味、在特会側徳永弁護士の遅刻時間も含めて30分程で閉廷した。
もうおわかりだと思うがこの裁判中はずっと原告側弁護団の書面説明で終わった。
在特会側徳永弁護士はそれを聞いているのか聞いてないのかわからないが、ほとんど書面とにらめっこして次回公判の日程の確認をしただけである。
次回公判は来年2月15日(火曜日)11時から101号法廷と取り決めされた。

その後、学校支援側の報告集会に参加し、弁護団の報告として書面説明をうけ、学校関係者からこの裁判にかける思いを聞き支援する会より、12月4日に在特会が再びデモを行う事が報告された。その後質疑があり筆者は質問させて頂いたが、時間の制約もありもっと聞きたかったが次回にもちこしとなった。
時間にして1時間20分ほどで終了。
筆者は裁判の余韻にふけりながら鴨川を徘徊。でもカップルに石は投げなかった。そして出町柳でラーメンをおいしく頂き帰る。
京都っていいよね。うん。