被告側第二準備書面を読んで

まず、被告側第一準備書面と併せて、被告側第二準備書面を一読して判断できるのは、被告らの言い分のベースとして「街宣活動はあくまで政治的主張で自由の表現の範疇として許されるものであり、12月4日の学校前のヘイトに関しても学校側教員と言い争いの中で生じたものである」というものである。
上記は刑事罰における事実関係を争った刑事裁判でも被告側が持ち出した理屈である。しかし、これは刑事裁判において威力業務妨害罪及び侮辱罪が一審で認定されており、上告してもこれがとてもひっくり返るとは考えられない程の事実関係をどう取り繕うというのだろうか?
さらに、この被告側第二準備書面では不思議な事がかかれている。被告側は「学校側が第一初級学校が50年以上も公園を不法占拠し、地域住民の使用を排除してきたことが、当事者被告らの追求・糾弾を受けることになった事を棚上げしている」としているがその一方で「当事者被告らの街宣活動を契機として被告西村斉の告発に基づき、第一初級学校の校長が罰金刑に処せられたうえ、サッカーゴールと朝礼台が公園から撤去され、周辺地域に法秩序が回復したからである。第一初級学校により不法占拠問題が解決した以上、これを糾弾してきた被告らが、今後、原告ないし第一初級学校に対する街宣活動を行う理由はなく、そのおそれは全く存在しない」と述べている。
彼らの「不法占拠」というものは一体なんだろう?まるで、サッカーゴールと朝礼台が置かれていたのが「不法占拠」の拠り所であったようだが、正直、「占拠」という言葉の仰々しさを自ら嘘でしたと告白しているようであり、今でも学校は勧進橋児童公園で授業を行っているのに何の法秩序回復し、問題が解決したというのだろう?
そういえば、西村斉氏は生放送で今後も朝鮮学校への追及をやめないと言っていたが、問題が解決しているなら何を追求しようと言うのだろうか?実に不思議な書面である。
あと、もう一つ思いだしたが、西村斉氏は最近、再三にわたり「検察が事件の原因は学校側にあると裁判記録にはある」と述べているのだが、その「西村斉氏の言う事実」が被告側書面にまったく書かれていない。これは何だろう?それが事実であるなら何を置いても書かねばならない事柄なのだが、何故か現時点で提出された書面には載っていない。まあ、被告側書面は第4回口頭弁論でやっと被告側認否が出そろったばかりなので、今後、是非「検察が事件の原因は学校側にあるとの裁判記録」という「西村斉氏の言う事実」が書面に出される事を期待したい。

さらに、被告側の言い分として自分達は「在日コリアン全体を排外するものではない」と繰り返し述べているが、これもおかしな話である。ぱっと思いつくだけで、1月14日の街宣の予告文において「卑劣、凶悪民族から公園を取り戻す為に行動を起こします」と書いてあるし、3月28日の街宣において有名な西村修平氏の「悔しい悔しい朝鮮人は、一人残らず、朝鮮半島に帰れー」というのがある。逆にありすぎて書くのが面倒だというくらいだ。もうここらは被告らのヘイトスピーチが詳しく述べられている学校側弁護団第一準備書面及び第二書面を読めば、よくも言えたものだとしか思えない。これはそのうち弁護団書面をエントリーとして紹介させてもらう。

後、注目する点で、今回の裁判で被告側も言い逃れできずに認めている個所がある。「平成22年3月24日付仮処分決定」の「街宣活動禁止仮処分決及び仮払金の間接強制決定については認める」とし、さらに「原告が被った損害」について、損害の発生及びその金銭的評価については争う」とした個所である。
これは仮処分決定違反を認めている点で既に賠償を覚悟していると見ていいのではないだろうか。損害の発生は争うとしながらも既に金銭的評価についての争いを持ち出すあたりでも、賠償金が発生する事案がある事を認めているととれる。
なるほど、被告側書面にも書かれていた在特会会長桜井誠氏(本名高田誠)が「朝鮮学校を一日も早く消滅させるために在特会はこれからも邁進して参ります」とあるのだが、朝鮮学校に賠償金を払うという事により支援する事という逆の意味でとらえたほうがいいのではないだろうか。

さらに被告側書面を読んでいると被告らは、ともかく拉致事件に絡む北朝鮮と総連、そして朝鮮学校を結びつけ落とし込めたい意図があるのがありありとわかる。
しかし、被告書面から「日本の小学校や幼稚園と同様の普通教育が行われている」ことに「不知」とし学校被害について全て「不知」とする被告らが朝鮮学校の何を知っているのだろうと思わざるえない。被告らが語る朝鮮学校像というのはバイアスのかかった根拠の薄いイメージと言える。さらに言うなら、この裁判は朝鮮学校に対するヘイトスピーチの事件である。裁かれるのは朝鮮学校ではない。在特会主権回復を目指す会等、10名におよぶ被告らが裁かれているのである。

この被告側書面を読むと、ともかく一つ一つに突っ込み所が満載で言いたい事はたくさんあるのだが、後は学校側弁護団の書面を待ちたい。ただ、筆者が一つ出してほしい書面の項目がある。それは是非、被告側に「在日特権とは何か?」を聞いてほしい。あまりにも馬鹿馬鹿しくも恥ずかしいかもしれない質問だが、いかがでしょうか。被告らの無軌道ぶりを司法に問う事は意味のある事だと思うのですよ。


最後に、実は第4回口頭弁論が終わった後で、京都朝鮮第一初級学校を訪ねた。学校前の事件の舞台となった勧進橋児童公園では先生と一緒に幼稚園の園児が走り回っていた。先生と目があい軽く会釈をする。すると筆者に園児らが一斉に「こんにちはー」と大きな声で手をふってくれた。元気いっぱいに手をふる児童に手を振り返しながら、ああ、気をつかわせてしまっただろうか。と申し訳ない気持ちになった。でも、そうでないかもしれない。普段からあの明るく元気な児童はあのように見知らぬ人らに元気を振り撒いているのかもしれない。しかし、あの事件を知るものとして、この学校は見知らぬ筆者にさえも含め周辺にこうも気をつかっているのだろうかという思いがよぎる。
学校のほうを見ると、若い先生が通学のためのバスの準備をしていた。裁判が終わり訪ねてきましたといい、話をして驚いたが、その若い、恐らく30代になるかならないかと思われる先生は校長先生であった。事件当時の元校長もバスの運転手を兼ねていたと伺ってはいたが、この校長先生も一緒であった。忙しい合間に笑顔で裁判の模様を話した。
これは聞いた話だが、朝鮮学校の教員は現在ほとんど若い独身者だそうだ。何故か。妻帯者ではとてもやってはいけない賃金であるからだ。
さて、筆者はネット上でこの「朝鮮学校いやがらせ事件」を追いかけ公表している。そこで学校側の言い分も含めてネットを利用すればいいと思う。だが、ある学校父兄からの話だが、それが怖いという意見があった。どのような侮蔑を受けるのかと。
ただ、ただ愕然とした。
イデオロギー教育とは何だ?日の丸に掲げて式を行う。あれはイデオロギー教育ではないのか?
反日教育とは何だ?誰が反日だと決めるのだ?それは誰かが決められるものなのか?

学校の標語には「今日も元気に失敗しましょう」と書かれている。ああ、いい標語だ。私もこういう標語のある学校で学びたかった。
学校からの帰り際に、再び勧進橋児童公園を見る。園児達がまだ元気に走り回っている。もうすぐ下校の時間だ。日がかたむきはじめている。
なんだろう。悔しさと情けなさが入り混じる。
しかしだ、それでも一つ言える事は、事件から公園では何も変わっていない。事件を引き起こした被告らの欲する成果と呼べるもの何一つない現状がここにある。何故なら、今日も勧進橋児童公園では近所の子も遊び、朝鮮学校児童が走り回っている。
公園奪還?何の話だ?



朝鮮学校入学おめでとう応援隊」に行ってみたhttp://www.realiser.org/report/lifestyle/article/index.php?id=297
朝鮮学校は教職員、父兄の努力で今日も運営されている。



本日のグルメレポート
京都寺町通り「上海人人飯店」のチャーハンと餃子、合わせて1050円。杏仁豆腐つき。久しぶりのこれぞチャーハン!美味しゅうございました。