朝鮮学校いやがらせ事件における公園使用の経過(弁護団第三準備書面より)

京都朝鮮学校いやがらせ事件の件で気になる事があったので、京都裁判所に記録閲覧にいってきた。気になるというのは在特会・主権の連中が「公園を50年に渡り不法占拠してきた」という主張が本当にそうだったのかケリをつけるつもりで事実関係を知りたかったわけだ。第二回口頭弁論における朝鮮学校側の第三準備書面において元校長が略式起訴された経緯を口頭とレジメで説明を聞いたが、より詳しく公園使用と事件までの経過が書かれた準備書面をこの目で確かめたかったので、京都は御所の前、周辺はうまい店多いぞこの野郎!の京都裁判所へ再びGO!


時間をたっぷりに使おうと午前中に裁判所に着きすぐに閲覧手続きに。でも出されたもろもろの記録の量に既にゲップ感が出る。
何これ?とてもこれ細かな精査できません。案の定、読み込みと忘れないためのメモ書きは訴状の段階で2時間以上経過してしまった。いけません。私のキャパを超えています。こんなペースではどうもならんわと、泣く泣く本来個人的に読みたかった第一、第二準備書面は流し読み。



うーーん。第一準備書面は先のエントリーで書いた項目のとおりにそれぞれに説明がなされて、民族教育を受ける権利を主張するストーリをわかりやすく簡潔にまとめられていた。これに本格的肉付けしたらまさに学術論文だなと。それを読みたい。
ただ、後で気がついたのだが、この民族教育を受ける権利については枝川と東大阪朝鮮学校の土地収用問題で既に出されたものかもしれない。詳しくは調べていないが、それぞれ和解しており、朝鮮学校側が掲げる民族教育の権利という論点は既に司法に受け入れられているかもしれない。ここら詳しい方がいましたならお教え頂けると有難いです。
しかしそれでも、ここまで正面きって民族教育の必要性と教育権という法理を司法に問うのはやはり画期的であるのではと思う。ここらはもっと調査と勉強を重ねて何時か書きたい。またこの書面は連中の誹謗中傷一つ一つに丁寧に反論をしている事を加えておく。


そして次の第二準備書面においては、この事件は明らかな人種差別事件であると弾劾している。正直涙がでてきた。訴状から事の経緯、連中が投げつけるあからさまで耐えがたい誹謗中傷を許した事を、ただただ申し訳ない気持ちになった。この項については近日に書きたいと思う。そうこの事件は恐らく日本で初めて人種差別として司法判断される事件になるかもしれない。


で、やっと第三準備書面である。ここには朝鮮学校側が公園を使用した経緯と事件後に元校長が何故略式起訴を受けたのかが書かれている。

昭和35年4月京都朝鮮第一初級学校は他より現住所の勧進橋に移転。
当時の公園は空き地のようで、所有権記録も不明で管理が不明の状態であった。
昭和38年に京都市勧進自治連合会、原告の3者で協議がもたれるようになった。
協議により、公園内の南入口から東西の金網を設け、京都市は金網の南側に遊具を設置し、金網の北側は学校がグランド代わりに使用する事で三者間の協定が成立。
証拠として、当時の協議メモの存在があり、協議に参加した市役所担当者T課長、K氏。勧進自治連合会のK氏、A氏、H氏、H氏。そして学校側の参加者の名前が記されている。
三者協議以降は問題もなく公園使用が行われていたが、阪神高速の建設がはじまり金網が撤去された。つまり、つい最近まで金網があり、公園使用はちゃんと別れた状態ですみ分けが行われていた。そして平成21年まで学校側が京都市より都市公園法6条1項の占用許可を受けるような指示をした形跡はない。また、朝鮮学校創立50周年記念行事はその勧進橋児童公園で行われ、それは京都市及び京都教育委員会の後援を受け来賓として来場、祝賀スピーチまで行われた。

しかし、平成16年に阪神道路公団から連絡があり、工事のためのボーリング調査に協力してほしい連絡があったが、学校側は学校スケジュールの調整もあり回答を保留していたら、その後連絡はなく調査は立ち消えになった。そして平成20年8月周辺住民より道路公団が説明会を開くとのビラが出ているとの情報がよせられ阪神道路公団に説明を求める。10月14日に道路公団が説明に来たが11月10日より工事をはじめるとされた。学校側はいきなりだったし調整もあるので11月着工はまってほしいと申し入れ。その後京都市と協議に入り工事は平成21年3月に着工される。
この時より学校側は勧進橋児童公園に変わる施設を探し始める。
平成21年6月に京都市の緑地管理課担当者がゴールポストと朝礼台の撤去を求めてきた。理由として急に緑地管理課当てに怒鳴り込むようなクレームが繰り返しきて参っているとの事。学校側は困惑したが、代地グランドである施設の目処もつき平成21年7月10日京都市に平成22年1月に撤去する提案をし、それまで置いてもかまわないとされた。

そして、12月4日朝鮮学校襲撃事件。

以上、朝鮮学校が公園使用を行った中での経過である。
正直、何が問題になるのかさっぱりわからない。
上記記録において、京都市自治会、学校側の合意のもとで公園使用がなされており、管理者であるところの京都市は黙認どころかはっきりと認めているのがわかるのではないだろうか。
話をおかしくしたのは、阪神高速の工事が浮上し、いきなり怒鳴り込むようなクレームをした人物がいたという事だ。これは訴状の中で当時の在特会京都支部長である西村斉氏が在特会会員からの情報で襲撃を思いついた点と何か関係があるのかとつい疑ってしまうとこだが、それはわからない。この民事裁判に出てくるかどうかわからないが、ひょっとしたら刑事裁判には出る可能性はある。
さて、上記出来事で元校長は略式起訴を受けた。
元校長は「平成21年6月5日から12月4日まで元校長がサッカーゴール、朝礼台。スピーカとコントロールパネルを設置して公園を占用した」事が公訴事実となっている。
検事の言い分は「在特会側は刑事裁判では都市公園法違反を強く主張してくる事は間違いない。在特会の矛先をかわすためには裁判が始まる前に都市公園法違反について処分をしてしまっておきたい」「決して実刑にはならないから大した問題ではない」「協力してもらえないのではあれば、こっちとしてはどうとでもできる」などを語ったと弁護団は述べている。
もし、この話が本当であるならば、本末転倒も甚だしいと言わざるお得ない。
この検察の姿勢は真理を求める法の正義をないがしろにし、事件をうまくまとめようとするだけのために罪人を生みだしたといっても過言ではない。
弁護団は元校長の無罪性を強く主張している。

さらに学校側が失望するのは、京都市緑地管理課が学校側に対してゴールポスト等を平成22年1月末までに撤去するという、平成21年7月10日の合意の内容を誓約書の形で提出して欲しいと求められた事だ。これは事件以降も妄動する在特会・主権回復に対するエクスキューズである事は明らかである。原告は京都市に対して児童の安全対策を求めた覚書を断固として応じなかったのに、役所のエクスキューズのためには安直に誓約書を求める京都市にやり方に強い反発を覚えたという点を加えておきたい。


京都朝鮮学校いやがらせ事件は、在特会・主権回復のようなあからさまな差別意識とともに、検察及び行政の朝鮮学校に対する扱いをも浮かび上がらせた事件でもある。
これも注視してほしい。






本日の絶品弁当。
京都裁判所近くにある「卵屋さんが作った手作り弁当」600円。ほんと、とても美味しゅうございました。これは食うべし。