経過と展開についての補足+ブレノ氏尋問の補足


経過と展開についての補足

今後の展開を書いて間もないのに、前回裁判時に、被告側から上申書が出ており、その内容がわかったので補足する。
そこには、被告側としては今後、西村斉氏、八木氏、西村修平氏、中谷氏の4名の本人尋問を申請する予定であると述べている。
なるほど。筆者は被告代理人たる徳永弁護士がやる気はあるようだと伝え聞きそれを書いたが、その中身がこれであったという事か。
徳永弁護士が、どのような意図で上記4名を申請するのか、それなりの推測もあるがまずは前向きであると捉えよう。
しかし、これでは残り7名のうちのまだ4名という事だ。上記申請分が終了した後に、引き続き尋問予定者として、残りの自称桜井氏、荒巻氏、川東氏を申請する必要があると思われる。
何故なら、まず、自称桜井氏は事件に関わった在特会のトップだからだ。確かにこの自称桜井氏は、何故かこの一連の朝鮮学校嫌がらせ事件に参加はしていない。その理由は不明だが、この事件には在特会幹部らが係わっておりその組織の長が、ましてや常日頃、全ての責任は負うと公言し、在特会の最終決断は自称桜井氏が下すと講演会で熱弁を奮っていた人物が出廷しないのは不自然であろう。
次に、荒巻氏は、この事件の最初の段階から係わっており、事件を先導した主犯格そのものの人物で同じく出廷が求められて当然と思われる。
また、川東氏についても同上と言えるものであり、被告らが学校の校門前で繰り広げたヘイトスピーチの中でも、さらに酷いものを言ったのはこの人物であり、スピーカー撤去という器物損壊までしておりこれも当然とされるだろう。
上記3名は、日頃から街宣において自らの主張を述べており、ネットにも拡散されている。当人らにとって裁判に出てきても何ら不都合がないのではなだろうか。徳永弁護士は是非にも彼らが堂々と自らの主張を訴える機会を設けてあげるのが務めではないだろうか。

被告尋問に関しては以上であるが、この上申書にはさらに以下の部分がある。
「主張の整理、とりわけ名誉棄損の不法行為に問疑されている発言内容について「公正な論評」の法理に基づく真実性・相当性とヘイトスピーチ論についての主張整理を全うする必要を感じております。つきましては3月7日の期日を主張整理のための弁論ないし弁論準備として頂だきたく上伸する次第です」
なるほど。徳永弁護士としてはこの裁判の突破口を法解釈に求めようとしているようだ。筆者としても、ならば、この裁判においてヘイトスピーチが何であるかの判断が下される事を願う。
この裁判は まぎれもなくヘイトクライムを現在の司法が裁く裁判である。被告らがどのような言い訳をしようが、あの事件当時に発せられた醜くいヘイトスピーチにはなんの真実性もない。しかもそれが「この程度」という言葉に象徴されるように、浅はかで軽い気持ちで発せられたものであるがゆえにそのおぞましさを増している。
にもかかわらず被告側は「表現の自由」を盾にこの事件を単なる政治的活動の単なるトラブルであると矮小化しようとしているのである。
筆者が司法に望むのは、この裁判を決して杓子定規に判断を下してほしくない。それは単に侮蔑があった程度では決してない。人が生きていく上での尊厳がこれでもかというくらい踏みにじられているという事だ。はっきりという。人が死ななければわからないのか。
司法はヘイトクライムが人を卑屈にさせ、萎縮させ、惨めにさせ、死にいたらしめるその重さを計ってほしい。


次回期日、3月7日 内容未定。



ブレノ氏尋問の補足

次に第10回口頭弁論においてブレノ氏の尋問が行われたが、そこで、次の会話があった。


◆報酬を受け取った事はあるか。
在特会のほうから交通費が出た事はある。
◆川東さんからカンパはもらったか。
交通費くらい。あと食事をおごってもらったり。
◆荒巻さん、西村斉さんの主義主張に共感している事はあるか。
僕にはこの人たちが言っている事を判断する域に達してない。
◆西村斉さんは供述調書の中で貴方は自分達を全面的に賛同する仲間だと言っていますが。
そのような事はなかったと思う。
◆言っています。後に準備書面で明らかにします。



さて、ここで弁護団が言う調書からブレノ氏を絶賛する部分を紹介する。

川東氏「(ブレノ氏は)無報酬で撮影やネットにUPしてくれる。同じ主義主張をもってくれていると思ってた。同じでなければ抗議活動に参加したり、ほぼ全ての抗議活動をネットに上げるはずがない」
在特会のメンバーはブレノさんと深い絆で結ばれており、私たち在特会のメンバーとして抗議活動や街宣活動に参加してくれていたのです」

荒巻氏「(ブレノ氏は)私たちと同じ保守系、アンチ反日の思想をもった上でのカメラマンであり、彼の活躍は私たちの広報担当としては欠くことのできない存在なのです」
「これからの活動においても手放したくありません」
「実際のところブレノさんは在特会の広報担当者なのです」
「朝鮮に対して、腹ただしく感じるようなことをブレノさんは私に熱く語ってくれたりする頼もしい同志なのです」

西村斉氏「仲間のブレノ」「私たちの活動を広報して広く世間の人たちに、私たちの考えを知らせ指示してもらえた」


抜粋であるが以上である。
ここで不思議なのは、ブレノ氏が在特会・チーム関西の広報であると「同志」が認め、原告弁護団もそう認識しているのに、ただ一人ブレノ氏だけが「中立」であると言い張っている点である。
筆者は、刑事における京都・徳島襲撃事件で、ブレノ氏が起訴猶予になっている事を前から不思議に思っている。恐らく検察は撮影という立場のややこしさと、主犯の絞り込みのため、そして確定できるものをとして手堅く工夫をして、ブレノ氏の起訴猶予という形になったものと推測される。それでも上記「同志」らの発言は、彼を単純な撮影者ではない事を物語っているのではないだろうか。
徳島の検察審査会の結果が待たれる。