在特会関連裁判の行方

去る9月16日に行われた民事訴訟の「京都朝鮮学校いやがらせ事件」を皮切りに、今後刑事裁判である「京都朝鮮学校いやがらせ事件」「徳島県教組襲撃事件」が行われる予定である。
そして予測の段階ではあるが、上記以外に刑事では「戸田氏集団暴行」「京都カウンターデモ妨害」「水曜デモ西ノ宮暴行」「京都総連本部襲撃」と事件になりうる出来事が控えている。また民事においても訴える動きがあり更なる民事訴訟が予想されている。
このように在特界隈はこの年末から来年にかけて、各地の裁判所通いをする羽目になるだろう。幾人かは警察が送り迎えしてくれるから楽だろうけどね。

さて、上記一連の裁判は在特界隈を裁く場となるのだが、質的に大きくわけて民事と刑事裁判に分かれる。その質的な違いとして一つとして、刑事は国家が刑罰という制裁を与えうるかで争い、民事は個人、団体が原告被告にわかれ損害を金銭に求め争うというものがある。そしてもう一つは刑事の場合裁くのは国家の代理たる検察であり検事対弁護士の構図であり、民事の場合は弁護士対弁護士、或いは個人の争いとなるところに大きな違いがある。この違いは裁判の争点内容さえ変えてくる場合がある。

そこで今回の「京都朝鮮学校いやがらせ事件」について言えば、刑事の場合は事実関係の争いとなるだろう。在特会側がいくら近隣住民が朝鮮学校の公園占拠で困っていたのですよと訴えても、裁判では「やむにやまれずあの襲撃に至った」という根拠がなければ酌量の余地はない。仮にその場合在特会側が持ち出せるものとして、在特会側が役所に問い合わせたと言うが役所が公園管理で困窮していたものがあっただろうか?映像にあった高速道路建設現場の警備のおっちゃんが近隣住民が困っているという証言をしたのはいいが果たしてあのおっちゃんは証人として出廷してくれるのだろうか?最初に苦情を在特会にメールで訴えた「近隣住民」というのは果たして本当に存在したのだろうか?ここらを出して来ると予想されるが、これらは「やむにやまれず」というものだろうか?おそらく裁判所に一蹴されて終わりと予想する。
したがってここでは学校への業務妨害、公園スピーカ等の無断撤去の事実を確認し、その被害の度合いをどのように罪に換算するかがポイントとなり裁判所は判例にしたがい刑の軽重を計るものと思われる。

次に民事訴訟のほうだが、学校側弁護団の目指しているものは上記刑事事件の事実関係に留まらない。訴状趣旨を読んでみると、弁護団はこの犯罪をヘイトクライム憎悪犯罪)として位置づけ未だに明確ではない法的な裏付けを現行法の中に見出そうとの決意が表れているように見える。
先の傍聴記で学校側弁護団在特会に比べ圧倒的であるというふうに書いたが、この民事裁判に対する弁護団の目指すものは、賠償金が得られるどうかのそんなレベルではない。ヘイトクライムの犯罪性を賠償額に何処まで反映させられるかをポイントとしている。
したがって弁護団の見つめるそれは正直かなりハードルが高いと言わざるえない。
刑事事件における事実認定だけでは難しいだろう。普通この手の騒音、威嚇の範囲での判例は100万も取れればいいほうだという話がある。
これを3000万という社会的に重い制裁と言える金額に何処まで近づけるかによって、ヘイトクライムには社会的に重みある制裁があると認知させる。そんな裁判に学校側弁護団は挑もうとしているのだ。その意味でこの裁判は社会的に大きな意味をなす裁判になるかもしれない。

ならばその裁判と進行の予測なのだが、学校側弁護団ヘイトクライム的なものを訴える上で恐らくこの社会にはこびる差別意識について述べる局面があると予想される。そして相手は在特会である。いきつくとこは在日コリアンが生まれた歴史認識に至るのではないだろうか。

初回の裁判で在特会副会長八木氏は「チマチョゴリ切り裂き事件」の件で薄笑いをした事がツイッターによって事実として認められた。どうも彼は「ネットde真実」の人であったようだ。「チマチョゴリ切り裂き事件」の犯人は確かに捕まっていない。しかしそれをもって総連側のでっち上げだと断定するネットde真実な人々の歴史認識とははなんだろう?そしてその認識はどのように組み立てられたものか?学術論文の一つもなく嫌韓本の執筆実績のみあり、出所の怪しい聞き取り調査本なるものを根拠に自称「歴史研究家」であると豪語する在特会会長桜井誠氏は裁判において堂々と歴史について述べる事はあるのだろうか?ネットの中の限られた空間にのみ生息する荒唐無稽、裏付けなしのトンデモは飛び出すだろうか?そしてそれらの「ネットde真実」の言説を八木氏ら在特会側が信じて疑っていないように見える。彼らは自信満々で勝つ気でいるのだ。
ならばそれらが裁判官にどのような扱いを受けるかここは要注目したい。

なんか書いていて「百人切り裁判」「夏淑琴氏名誉棄損裁判」よりもグダグダになりそうな感じしかしないな。つうか、これ在特会につくであろう弁護士大変だな。おい。
とまれ、学校側弁護団はそれら在特側の歴史認識に至る背景から、差別意識、社会の差別構造、ヘイトクライムによる犯罪性を浮かび上がらせる戦術をとると予想される。

最後に、今回の朝鮮学校いやがらせ民事訴訟裁判は、上記裁判の流れも注目されるべき裁判となるだろう。朝鮮学校弁護団の奮闘を切に期待したいと思います。



(この予想はあくまで私個人の予想であり、はずれたとしても怒っちゃやーよ。でも思い違いして弁護団に迷惑かけたとしたら、先に謝っときます。指摘があればすぐに訂正もします。)